熱膨れ

熱膨れの原因は水分
塗装面が水膨れのように膨れている外壁などを見かけたことはあるでしょうか。これは「熱膨れ」という現象で、材料選定や施工方法が適切でなかった場合に起こります。その原因は塗材に混入した水分・水蒸気や、外壁の内部に浸透した水分。温度上昇が起こると水分が気化して水蒸気になり、塗膜を押し上げることで熱膨れとなるのです。熱膨れが起こった塗膜はもろく、剝がれやすくなってしまいます。熱膨れは塗装の仕上がりはもちろん、耐久性にも影響を与える塗膜欠陥です。熱膨れを起こした場合はディスクサンダーで削る、既存の塗膜をすべて剥離し、塗装を一からやり直すといった補修が必要になります。
熱膨れが起こりやすい壁材と塗料
「熱膨れ」というくらいですから、熱を持ちやすい材料ほど熱膨れが起こる可能性が高くなります(基本的にはどんな壁・屋根でも発生する可能性があります)。特にサイディングボードは蓄熱性が高い素材です。金属素材なども熱がこもりやすく、熱膨れが起こりやすいと言えます。
また、サイディングと弾性塗料の組み合わせの場合に熱膨れが起こりやすいと言われています。弾性塗料はひび割れしないように高い伸縮性を持ち、防水機能に優れた塗料のこと。他の塗料では下地にひびが生じると一緒に割れてしまいますが、弾性塗料ではひび割れに追従することができるので、ひび割れが表面化しません。しかし、弾性塗料は熱可塑性によって柔らかくなるため、熱膨れが起こりやすい塗料でもあるのです。とりわけ既存塗膜に膨れや剥離が生じている場合、弾性塗料による塗り替えは推奨されません。また、ひび割れに水分が浸入した場合も、熱膨れの原因になります。
施工不良で熱膨れが起こることも
塗装では下塗り、中塗り、上塗りを行いますが、工期を短縮するために乾燥時間を短縮する業者も存在します。乾ききっていない塗料に上塗りを行うと、水分や空気などが残っているために熱膨れを生じる場合があります。また、高圧洗浄などの下地調整やひび割れの補修を怠った場合も塗膜が密着せず、熱膨れを誘発する場合があります。
熱膨れを予防する塗装とは
では、どうすれば熱膨れを予防できるのでしょうか。まずは下地の調査が重要になります。サイディングボードであれば、サイディングボードの材質を調べます。窯業系サイディングボードであれば、弾性塗料は熱膨れを起こす可能性が高くなります。したがって他の塗料、例えば遮熱性の高い塗料を選択することが考えられます。
他に考えるべきは、色の種類です。夏に黒い服を着るとより暑く感じることがありますが、濃い色の塗料は蓄熱量が多い傾向があります。したがって色が薄い方が熱膨れ対策になると言えます(ただし熱膨れ対策としては、塗料の種類の方が重要です)。
既存塗膜がある場合は、塗料の種類を調べます。例えば旧塗膜が溶剤系アクリル塗料(アクリルラッカー塗料)の場合は、熱によって変形する性質を持っているため、新しい塗膜に膨れが生じる確率が高くなります。このような場合では、まず密着性の高いカチオン系の素材で下地処理を行い、旧塗膜と縁を切ったうえでシーラーを塗布、中塗り、トップコートを塗装して仕上げるのが理想です。しかし、予算の都合で万全の塗装ができない場合は、先に述べた塗料の種類や色を検討します。艶についても、艶消しの方が透湿度が高いと言われているため、艶消し塗料を選択肢に入れます(水分を外に逃がすことができれば熱膨れしづらい)。
特に塗り替えの場合は、業者や職人の実力や仕事への取り組み方が塗装の品質に影響しやすいと言えるかもしれません。
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