棟板金
- 屋根の接合部分を守る板金
- 傾斜した屋根面同士が交わる部分を棟(むね)と呼び、スレート屋根や金属屋根などの棟部分に設置される鉄板の部材を棟板金と呼びます。屋根の接合部分を雨風から守り、屋根の部材を留める役割を果たします。また、換気能力を持たせた換気棟も存在します。
棟を金属板などで包むことを棟包み(むなつつみ)と呼ぶので、棟包み板金と呼ばれることもあります。
ちなみに棟包は大棟と呼ばれることもありますが、大棟は本来、最上部にある水平な棟のこと(棟板金を「屋根の最も高い位置に取り付ける部材」と表現しているサイトもあります)。大棟から伸びる棟は隅棟(すみむね)や降棟(くだりむね)と呼ばれます。
差し棟と棟包
棟板金には差し棟(棟コーナー)仕様と棟包仕様の2種類の仕様があります。
差し棟は隅棟においてコロニアルなどの瓦1段ごとに板金を差し込んで施工する仕様。棟包は屋根を葺き上げた後、面の接合部分に被せて下地に固定される棟板金で、必要な数は差し棟よりも少なくなります。
分譲住宅などでは棟包仕様が多かったのですが、最近では差し棟仕様の住宅が増えてきているようです。
差し棟と棟包では次のような違いがあります。
- 耐風性
- 差し棟は板金を瓦に差し込みますが、棟包は屋根の接合部に被せて下地に固定します。このため下地を用いない差し棟の方が台風などの際に破損しづらく、メンテナンスにかかる費用も抑えることができると言われています。
- デザインと形状
- 差し棟と棟包では屋根のデザインも変わります。総じて差し棟の方がスマートな意匠になります。ただし、屋根の形状によっては差し棟を採用できないこともあります。リフォームの際に差し棟を採用する場合は、屋根全体を吹き替える必要が出てくる可能性があります。また、差し棟の方が施工に技術が必要だと言われているので、業者の選定にも注意が必要です。
- コスト
- 耐風性は差し棟の方が優れているのですが、瓦の段数だけ数が必要になるので、コストは棟包の方が安くなります。
なお、差し棟と棟包は同時に用いられることもあります(例:大棟にあたる部分は棟包、それ以外の棟は差し棟にする)。
劣化に注意
屋根の頂点に位置する棟板金は雨風の影響を受けやすく、下地材が経年劣化すれば雨漏りしたり、釘が抜けたり板金が剥がれたりしやすくなります。特に板金が飛散すると重大な事故につながる恐れがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。棟板金の耐用年数は約15年と言われていますが、最近では耐久性の高い金属下地なども開発されていますので、改修の際には検討してみると良いでしょう。