むくり屋根

優しい印象の丸く盛り上がった屋根
むくり屋根とは、傾斜面が丸く盛り上がった屋根のことです。瓦屋根だけでなく、金属屋根でもよく採用されています。「むくり」は「起り」と書き、上方に凸状に湾曲している線のこと。下方に凸状になったものは「そり(反り)」と呼びます。
むくり屋根は、日本建築では商家や公家屋敷、または数寄屋(すきや)造りの建物によく見られ、京都の桂離宮にもむくり屋根が採用されています。城郭や寺院などに多く見られる「反り屋根」は大陸から伝わったものですが、伝統的なむくり屋根は日本独自に発展してきたと言われています。京言葉では、むくりには「柔らかな丸み」といった意味があるそうですが、確かにむくり屋根の建物はお辞儀をしているような、優しい印象を与えます。反りは格式や荘厳さを表し、むくりは丁寧さ、低姿勢を表す、と表現されることもあります。
金属製のむくり屋根に関しては、学校の体育館の屋根がかまぼこのような形だった、という人もいるかもしれません。形状が半円形まで行ってしまうとむくりと呼ばないことも多いようで、かまぼこ屋根、アール屋根などの名称があります。
むくり屋根のメリット・デメリット
むくり屋根のメリットは、柔らかな外見だけではありません。まず、雨水のキレが良くなること。軒へ近づくほど勾配が急になるので、雨水が落ちやすくなります。雨水が溜まらず腐食しにくいので、防水性能が高いと言えます。また、屋根が膨らんだ曲線を描くため、風の抵抗が減って風通しが良くなる、曲線と瓦の重なりが振動を分散させるため地震に強い、とも言われます。
デメリットとしては、造りが特殊なため建築コストが高くなること、瓦の配置の複雑さや屋根の曲線形状がメンテナンスを難しくさせることが挙げられます。
東京スカイツリーにも採り入れられた「むくり」
むくり屋根は、京都などの歴史がある土地に多く見られる屋根ですが、各地の新築住宅などに採用されることもあり、現代的な建築にも生かされています。
最近話題になった「むくり」としては、東京スカイツリーの「むくり」が挙げられます。スカイツリーにむくり屋根が採用されているわけではありませんが、公式ホームページには「シルエットは、伝統的日本建築などにみられる『そり』や『むくり』を意識しています。頂部から足元に向かって変化するしなやかな曲線が、タワーに凛とした佇まいと優美な雰囲気を生み出します」と記載されています。
なお、瓦屋根には「てりむくり」が見られることがあります。「てり」は「照り」と書き、これは反りのことです。凹凸の滑らかな反転曲線を持つ「唐破風(からはふ)」が典型的ですが、凸状の丸瓦と凹状の平瓦などを組み合わせた本瓦葺きなども「てりむくり」と形容されることがあります。
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