鎹(かすがい)

コの字型の接合金物
「子はかすがい」という言葉があります。「子供への愛情が夫婦の仲を和やかにして縁をつなぎ、保つこと」を意味する慣用句ですが、かすがいとは接合金物の一種のことです。「鎹」と書き、2つの材料をつなぐ役割を担います。ちなみに「子だけかすがい」「子をかすがいにしたら夫婦は終わり」といった、大人を戒める言葉としても使われます。この場合は、夫婦間に多少の行き違いや諍いがあっても、材料をガッチリつなぎ止めるかすがいのように、子供のことを思えば別れられない…という意味になります。いずれにせよ、かすがいが「つなぎ止めるもの」と捉えられていることに変わりはありません。
かすがいが使われる部位
かすがいは主に木造建築で使われる金物で、土台と柱、床束(ゆかづか。床を支えるための短い柱)と大引き(おおびき。床下の根太[ねだ]を支える横木)、小屋梁(こやばり。木造の小屋組に使われる水平の横架材)と小屋束(こやづか、こやつか。梁の上で母屋を支える垂直材)、管柱(くだばしら。土台から天井まで届く前に他の柱などで中断されている柱)と胴差(どうさし、どうざし。上階と下階の間をぐるりと巡る横架材)などを緊結・補強します。小さなものは建具や家具に用いられますが、大きなものになると18cm程度のサイズになります。
かすがいの種類
かすがいにはさまざまな種類があります。ここでは主なものを紹介します。
  • 普通かすがい
    コの字になった鋼棒の両端が尖っている一般的なもの。角は直角になっている。丸型の丸かすがい、角型の角かすがいがある。折り曲げた部分を爪、中央部分を渡りと呼ぶ。
  • 手違いかすがい
    爪部分が違った方向を向いているもの。
  • 平かすがい
    平鋼を折り曲げてつくるかすがい。フラットかすがいとも。ツライチ(面一。二つの面に段差がなくフラットなこと)施工を謳った製品もある。ツライチだと上からサイディングなどを直貼りすることができる。
  • 目かすがい
    目鎹(めかす)、目鎹釘とも。一方が短冊状になっており、釘などを通す穴が開いている。爪が平鋼からL字に飛び出した平らなものと、平鋼に対して直角に伸びたものがある。
かすがいを用いるときは、まず両爪を開き気味にし、部材間も少し間隔を空けておくことが多いようです。こうすると打ち込むにつれて密着が強くなります。もっとも、あまり大きく開いてしまうとかすがいの役割が果たせなくなるので、背面を補強するなど、さまざまな製品が開発されています。
かすがいには「かけがね」の意味も
「かすがい」という言葉には戸や箱などを閉めておくための金具(掛け金、かけがね)という意味もあります。掛け金は打ち掛け金物とも呼ばれ、戸などに取り付け、もう一方の金具にひっかけたりして開かないようにするものです。棒を受け金具に通すもの、受け金具に輪を通して回すことで閉めるものなどがあり、南京錠と組み合わせて使うこともあります。
古くはかすがいを「加須可比」とも書き、建具などをつなぎ止める金物ということで掛金、繋金(かきがね)を意味したのだとか。辞書にも明記されている用法ですが、かすがいで検索しても掛け金はほとんどヒットしないため、現在では掛け金をかすがいと呼ぶことは少なくなっているのかもしれません。
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