可塑剤

柔軟性や弾性を与える物質
可塑剤(かそざい)とは、樹脂などの材料に対して柔軟性を与えたり弾性を与えたり、加工しやすくしたりするために添加される物質の総称です。
一般的にフタル酸系、アジピン酸系など、20~30種類の可塑剤が使われており、そのほとんどが酸とアルコールから合成される化合物(エステル)となっています。特にフタル酸系ビス(DEHP)は汎用可塑剤として広く使用されています。 可塑剤には次のような性能が求められます。
  • 相溶性(塩ビ樹脂とよくなじむ)
  • 可塑化効率(必要な軟らかさを最小量で実現できる)
  • 低揮発性(空気中に揮発しにくい)
  • 低移行性(水に溶けず、他の素材に移行しない) など
さまざまなところで活躍する可塑剤
丈夫であり、しかも柔軟性がなければならないものは、身の回りにもたくさんあります。
  • 掃除機や洗濯機などのホース
  • 炊事用の手袋
  • ビニールハウスの塩ビフィルム
  • 電線の被覆材
  • ビーチボール
  • 食品用ラップフィルム など
それぞれ素材が異なるため、先に述べたような性能を実現するために素材に合った可塑剤が使用されています。時には複数の可塑剤が用いられていることもあります。
可塑剤のメカニズム
塩ビを例にとって可塑剤の働きを見てみましょう。 塩ビ(塩化ビニル、塩化ビニル樹脂)は、酸化反応に対する抵抗力が極めて高い、高耐久力を持つプラスチック材料です。塩ビは本来硬いので、可塑剤を添加剤として用いて任意の硬さにします。
常温の塩ビ樹脂はポリマーの分子にプラスマイナスの電気的な偏りがあり、分子同士が強く引き合っています。結果、分子間の距離が短くなっているために固くなっているのです。これを加熱すると分子の運動が高まり分子間の距離が広がるので、軟らかくなっていきます。
可塑剤分子は軟らかくなった塩ビポリマーの間に割り込み、分子の接近を妨げます。結果として常温でも分子間の距離が広がったままになり、軟らかさが維持されます。可塑剤が多く添加されるほど塩ビは軟らかくなります。このように樹脂が固体状態から溶融状態に至ることを可塑化と言います。
可塑剤がなくなると…
可塑剤を用いた樹脂から可塑剤が抜ける(揮発する、流れ出る)と、樹脂は劣化します。例えば建築に使われるシーリング材であれば、紫外線や風雨、経年劣化などで可塑剤が抜けることによって劣化が起こります。シーリング材は可塑剤によって弾力性を保ち、防水性を維持していますが、可塑剤が抜けて固くなり、シーリングが痩せてしまうと、やがて防水性能が失われます。ホースであれば、可塑剤が流れ出してベトついたり、可塑剤が減少してパイプのように固くなったりします。消しゴムをプラスチックの筆箱などに長い間入れっぱなしにしておくと貼り付いたり色が移ったりするのも、染み出した可塑剤が原因です(可塑剤の移行)。
食品用ラップフィルムにもさまざまな可塑剤が使われています。可塑剤の安全性が気になりますが、使用されている可塑剤に急性毒性・遺伝毒性・発がん性は認められていません。また、日本では食品衛生法に基づき、材質試験及び溶出試験の規格基準が定められているほか、業界団体ではラップフィルムを含めたプラスチック製品の安全性を高めるべく自主的な取り組みを行っています。
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