ヘアークラック

髪の毛程度の亀裂
ヘアークラックとは、建物の外壁や基礎、コンクリートやモルタル壁などに発生するわずかな隙間のひび割れのことです。ヘアーとは髪の毛のことで、髪の毛サイズの有害度の低い亀裂をヘアークラックと呼びます。国土交通省の定義では幅0.3mm以下、深さ4mm以下のものがヘアークラックとされています。
塗装や外壁表面にヘアークラックがあっても、構造部分には影響しません。しかし、放置しておくとやがて大きな障害に発展する可能性があります。
ヘアークラックは補修のサイン
クラックができる主な原因は次の3つが挙げられます。
  • 経年劣化
  • 施工不良
  • 地震、地盤沈下、電車による揺れ
塗膜が日光や紫外線などで経年劣化すると、雨水の吸収・乾燥を繰り返す外壁の膨張・収縮に耐えられなくなり、ヘアークラックが発生します。また、モルタルやコンクリートでは、経年劣化だけでなく、施工後に表面が乾燥・収縮することでひび割れが生じてしまうこともあります。
前述のとおり、ヘアークラックは構造には影響しないため、放置されることも多い障害です。しかし、本来あってはならない亀裂が生じるわけですから、やはりダメージは蓄積します。
例えばコンクリートの場合、「中性化」という劣化が進むと、中の鉄筋が錆びてしまうことがあります。コンクリートはアルカリ性で、鉄筋が錆びるのを防いでいるのですが、雨や紫外線にさらされるとコンクリート内部が中性化し、鉄筋が腐食するようになります。錆びた鉄筋は膨張するので、大きなひび割れや剥落を引き起こす危険性が出て来ます。つまり、ヘアークラックを放置すると水の浸入を許し、大きな障害に発展する可能性があるわけです。また、水が浸入しなくともヘアークラックが黒ずんでしまい、外観を損ねることもあります。
段階別のクラック補修方法
ヘアークラック対策としては、まずコーキング補修や塗装工事が挙げられます。塗装を行うと見た目が回復するだけでなく、防水機能も復活するので、住宅を長持ちさせることができます。
通常のクラックに対しては、他にも次のような補修方法があります(主にコンクリートの場合)。
  • シール工法
  • 樹脂注入方法
  • カットシーリング充填工法
シール工法はシーリング材などをクラックに充填し、塗装などで仕上げる工法です。
樹脂注入工法はエポキシ樹脂などを注入して隙間を埋める工法で、漏水の恐れのある割れに対して用いられます。どの工法をどの程度のクラックに用いるかは業者によって異なりますが、幅0.3mm以上のクラックに使われることが多いようです。
漏水の恐れがないクラックの場合は、カットシーリング充填工法が用いられます。コンクリートではクラックが大きくなるとその周囲がもろくなるので、まずカットサンダーなどでもろくなったコンクリートをクラックに従って除去し、シーリング材を充填して補修します。
なお、ヘアークラックであったとしても、例えば基礎を横断して発生している場合などは早めの補修が必要になることもあります。たとえDIYが可能そうに見えたとしても、危険度を見誤ると適切に対処できないかもしれません。ヘアークラックを発見したら、一度専門業者に点検を依頼してアドバイスをもらった方がよいでしょう。
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