縁切り

さまざまな意味を持つ縁切り
「縁を切る」と言えば、一般的には夫婦・親子・兄妹や主従関係などを断絶し、他人となることを意味します。また、悪縁を切り、良縁を結ぶ神社は「縁切り神社」と呼ばれたりしますが、建築でも「縁切り」は幅広く使われる用語となっています。
建築における「縁切り」とは、2つの部材が触れ合わないように間隔を取ること、あるいは、長尺の部位などが温度による伸縮でひび割れないように目地で分割することなどを言います。もちろん「縁切り」という名詞だけでなく、「〇〇と××の縁を切る」「縁切りする」と、動詞を伴う形でも使われています。なお、「縁切り」の読み方には「えんきり」の他に「えんぎり」があり、会社や業種によってどちらを使うかは様々なようです。
今回は建築における「縁切り」を見ていきます。
屋根の縁切り
スレート瓦の屋根を塗装すると、瓦と瓦の隙間が塗料で埋まってしまうことがあります。これを防ぐために瓦と瓦の間に隙間をつくることを縁切りと呼びます。隙間をつくると雨漏りするのでは?と思われるかもしれませんが、実際にはその逆。スレートの表面には溝があり、雨水が屋根材の下に浸入した場合には、これを排出するようになっています。塗料がこの溝を塞ぐことを避けるために縁切りが必要になるわけです。また、縁切りは内部結露を排出する役割も果たしています。内外の温度差により屋根裏に発生した内部結露を排出しないと、木材や断熱材を腐らせてしまう危険性が高まります。
従来はカッターなどで縁切りを行っていたのですが、せっかく塗装したものを傷つけてしまうことがある、枚数が多いと時間とコストがかかるなどの問題点がありました。最近では「タスペーサー」というプラスチック製品をスレートの隙間に挟むことで簡単に空間を確保できる施工法が採用されることが多くなっています(ただし、最初から4mm以上の隙間がある場合は必要ありません)。
目地による縁切り
コンクリートを使った建物では、特に長尺部位において温度変化によってコンクリートが伸縮し、ひび割れが生じることがあります。これを防ぐために適切な長さで伸縮目地材を入れることを縁切りと言います。施工目地自体を縁切りと呼ぶこともあります。
他にもクロスの接合部分を目立たなくする部材も縁切りと呼ばれますし、長屋形式の建物の一部を解体することを縁切り解体と呼んだりすることがあります。
塗料の縁切り
解体工事において外壁を倒すために柱などの一部を切削することも縁切りと呼ばれますが、要は「2つのモノが触れ合わない状態にする」ことが縁切りだと言えます。このため、外壁塗装においても縁切り、縁を切るという言葉が使われることがあります。例えば外壁の塗り替えを行う際、既存塗膜の種類によっては新しい塗膜に熱膨れが起こる確率が高まります。これを避けるためにまず密着性の高いカチオン系の素材で縁切りを行い、さらにシーラーを塗布してから塗装することで塗膜の耐久性を上げる手法が取られることがあります。
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